退職金制度の見直しと中小企業の問題解決

税制適格退職年金制度が抱える問題とその対策 その1

適格性がなくなることに伴う問題

税制適格退職年金制度は昭和37年に企業に退職金制度の導入を図る目的で運営され始めました。
この制度の最大のメリットは掛金の全額が損金計上できるというところにありました。

 

しかし平成14年の確定給付企業年金法の施行に伴い法人税法が改正され、税制適格退職年金の新規契約は原則できなくなり、既存契約についても平成24年4月以降は適格性がなくなる、つまり掛金の損金計上が認められなくなるということが決定しました。
これに伴い税制適格退職年金契約をしている企業は二つの問題に直面しました。

 

一つは、社員の退職金支払いのために積立しているにもかかわらず掛金(保険料)が損金計上できないのであれば、他の退職金資金準備方法を検討する必要があるということ、もう一つは今まで税制適格退職年金契約において積み立ててきた退職金資金をどうするかということです。

 

税制適格退職年金契約を解約するという方法もありますが、これは現実的ではありません。
解約するとその積立資金は会社に戻ることなく、社員に分配されます。分配された資金は退職金の扱いとはならず、一時所得となります。こうなると所得税だけでなく社会保険料等様々なところに影響が出ます。

 

また、税制適格退職年金を解約しただけでは何の問題解決になりません。
税制適格退職年金契約は単なる退職金資金準備の一つであり、解約しただけでは労働基準監督署に届け出てある退職金規程や退職年金規程に何ら影響を与えません。つまり退職金支払わなければならない義務は残るのです。
税制適格退職年金の解約によって自社の退職金制度を廃止したいと考えているのであれば、就業規則、退職金規程、退職金年金規程の変更・廃止が必要となります。

 

さらに退職金制度を廃止するということは、労働条件の不利益変更となりますので慎重に対応する必要があります。会社側が一方的に退職金制度の廃止という不利益変更を行ない、訴訟となった場合は相当の事由がない限り勝訴は難しいでしょう。相当の事由といいましても、退職金資金不足や経営状況の悪化等は相当の事由とはならないので注意が必要です。
労働条件の不利益変更を行なわざるを得ない場合には、私共社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

このようなことにより税制適格退職年金の積立資産は他の制度に積立資金を移行できるようになっています。
他の制度に移行すれば、積立金は分配されることなく今までどおり積立が継続され、余計な税金等徴収されることはありません。
他の制度というのは、「厚生年金基金」「確定給付企業年金」「確定拠出年金(日本版401k)」「中小企業退職金共済」の4つとなっています。
多少の制限はありますが、会社に適した制度に移行すれば問題ありません。